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淫徳のスゝメ
第3章 私が最も華やいだ頃のこと
お兄様に連絡をとって十五分ほどのち、粗末な共同住宅に自家用車が乗りつけてきた。
免許があるのに運転手を従えてきたお兄様は、平日の真昼間に随分とフリーダムな格好をしていた。
「兄の遊よ。がたいは大きいし金髪だけど、真面目なニート」
「ニートじゃねぇよ。親父が隠居するまで休憩してるだけ」
「初めまして」
「お兄様。こちら、お友達の早良まづるさん」
「どうも」
まづるさんは、お兄様の好みに直球している私と違って、ことに女好きのする顔立ちだ。フランス人形のような巻き毛に嬋娟な身体、お伽話の世界から抜け出てきた風な装束が、一見フェミニンな印象を与えているが、幸いお兄様の不躾な目の餌食になることはなかった。
「この尻軽は?」
「直美よ。まづるさんのペット」
「こっちのガキは?」
「ふみ子よ。お兄様の今日の玩具」
ここで初めて、ひょうきんなお兄様に難色が現れた。お母様のように優雅で弱々しい女と、お兄様自身のようにいかめしい男、それこそお兄様の好物だからだ。
「ガキとヤんの?」
私達が押し問答をしている間も、直美は一人で盛り上がっていた。
お兄様は私の話に耳を傾けるのもそこそこに、直美を物珍しげに観賞し出す。すると直美は、総身をぶるぶる煩悶させて、潮まで吹いた。