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淫徳のスゝメ
第3章 私が最も華やいだ頃のこと

* * * * * * *


 社交クラブの一同は、夕餉までの数時間、自由行動を許された。



 私とまづるさんはみゆきさんのあとに付いて、別荘の案内を受けることになった。



 きらびやかな可視光が交う屋内は、どこも禍々しいまでに豪華絢爛で、妖しく、平成の日本らしからぬ情調が精到に行き渡っている。


 紋切型の小さな扉は、どれもまづるさんが話していた通りの用途の部屋だった。

 一見ありきたりな洋室でも、天井には金具をかけるためと見られるフープがあって、私が富豪の婦人達の屋敷でのべつ使用している類の、その手の店でしか調達出来まいアダルトグッズが揃えてある。極彩色のシャンデリアが炫耀している、鏡張りの部屋もあった。いかにもブティックホテルに倣ったようなそこは、回転ベッドに十架型の拘束具、いばらのオブシェ、殺傷機能を除いた鉄の処女など、大掛かりな演出がなされていた。

 以上の部屋には、度々先客の姿があった。社交クラブのメンバー達だ。彼女らは皆、千般の時間を各々楽しんでいる。腕を絡めて身体に触り合う者達、キスを交わす者達、相手の性器をいじる者達──…。





 みゆきさんの案内が進むにつれて、私達はより猥褻な、そして残虐性を帯びた光景に鉢合わすようになっていった。



 びゅっ…………

 ビシィィィィィイイイイッッ…………


「あああっっ」


 二百何十いくつめかの扉が開かれた。

 三十何組めかの少女達が、遊戯を賞翫していた。



 同胞に覗かれたところで、それを理由に情事を中断するべからず。

 社交クラブのメンバー達は、そうした規約にも従っている。

 この二時間半の内、私達が遭遇してきた彼女らの誰もが庶民のように動揺の素振りを見せなかったのは、そのためだ。


 目前の少女達も例にもれない。


 部屋にはロープが渡してあった。少女が四人、そのロープに跨がせてある。裸体の少女らは全員同じくらいの背丈だ。従って、ロープは彼女達の脚と脚の間に均等な具合に食い込んで、剥き出しの性器をいたぶっている。
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