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淫徳のスゝメ
第3章 私が最も華やいだ頃のこと


「ま、まづる……」


 燃えるような熱情が、私をなじった。

 他人行儀な呼び方ではない、かくいうものは、友人間でも通塗かも知れない。それでも私は、あれだけ蔑んだごっこ遊びに興じている少女達よろしく、内気に縮こまっていた。


「ぁっん……まづるぅ……っっ」



 触れて。触れて。奥まで貴女の好きにして。



「姫猫」


「っっ……」


「綺麗。知り尽くしてるはずなのに、貴女はいつでも、初めてみたいな衝撃を、私にくれる……」

「ぁっぁ……あぁぁ……!っは……」


 私のももは押し開かれていた。内股を、ロイヤルミルクティー色の錦糸がくすぐる。


 ちゅる…………

「ぅっ……く……はぁっ、はぁっ……」

 ちゅるっ……じゅる…………


 とろけるような唇は、下腹の深奥部にまで差し響く貪愛を閉ざしていた。彼女の味覚が私を恍惚へと引き上げて、クリトリスを舐めてつつく。私から劣情を啜り上げる唇が、おりふし私の弱いところを吸い上げている間にも、その手は私の内股を撫でる。


「ぁっ……ああっ」


 ガクガクガクガク…………

 ちゃぷ……ぴちゃっ、ちゃぷ…………


「ああんっ!あっ……はっあっぁぁあっっ!…………」


 いたずらな蝶の舌先が、私の浅瀬を侵していた。私は情けないまでに声を昂らせて、けだし姉妹よりも気心知れた同胞にしがみついて震えるばかりだ。


「もっ……だめぇぇっ……イクっっ……いっちゃ──…ああっ、あぁぁぁぁっ!イクぅぅぅううううううっっ…………!!」


 私の頭のすぐ上で、何かが弾けた。





 数秒間、或いはもっと長い間、私はまづるを離れていた。



「はぁっ、はぁ……」

「外だけで気を遣っちゃうなんて」

「まづる……」

「感じやすい仔猫ちゃん。もっといやらしいことしたくなるじゃない」


 息をするように馴染んだキスが、私とまづるの口舌を繋いだ。

 まづるの手のひらが私の頬を挟み込み、私達はまた、キスを重ねる。…………







第3章 私が最も華やいだ頃のこと──完──
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