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淫徳のスゝメ
第4章 私が天涯孤独になったこと





 お父様の施術中、約束通り、私はまづると久美子さんのパフォーマンスを観賞しながら楽しみに耽った。


 久美子さんは、お父様の小麦肌に一点一点針を挿して、極彩色を刻んでゆく。変わらず器用な仕事ぶりは、みるみる白い頭皮に蛇を這わせた。



 黄昏がカーテンに滲み出すと、お父様の耳の裏側からうなじにかけて鉄線が覆い、腕や背中には上部の蛇の眷属が蠢くようになっていた。脚は瓦礫に引きずられている。



 私はメイドを呼びつけて、まづるとの遊びに彼女を交えた。お兄様もお気に入りのメイドを呼んだ。



 お父様の刺青に完成が迫った。

 各々、メイドを下がらせた。


 久美子さんとお兄様は、お父様のロープをといた。そして、久美子さんがお父様の脛を仕上げる間、お兄様はお父様の顔に跨って、ペニスを世話させた。



「はぁっ、ぁっ…………イイ!っっ、やぁんっ、そ、こぉっ……っ、まづるぅ…………」


 私の身体は、まづるの胸の中でとろけきっていた。まるで一年分の電流に痺れて、ともすれば壊れたような肉体は、それでもまづるの指の質感を探して神経を凝らす。


 私はまづるの膝に乗って、彼女の巻き髪や乳房に触れて、キスをして、彼女の指に踊り狂っていた。


 まづるの指は、私の体内を前にも増して知り尽くしている。それでいてそこばかりを狙わないのは、彼女らしい計算か。…………



「姫猫……。可愛い…………姫猫の中、ぐしゃぐしゃだ……。いやらしい顔。ね、その顔で、もう一度キスして……」

「ん……いくらでもする……。まづるっ、んん……はぁっ、はぁ、はぁ……ん……」





 永遠などありえない。

 ありえないから、私は私自身にまづるを染みつけるより他にない。



 まづるの痕を残したかった。彼女の指が、声が、体温が、私に神憑り的な酷愛をもたらす。



 彼女の肉体が二つあれば良いのに。さすれば、一方は嚥下して血肉に変えて、一方を愛玩ドールにしてしまえるのに。
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