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淫徳のスゝメ
第5章 私の暗黒時代のこと
「有本さんの、お話は素晴らしいわ!ぁっああ……くだらない……生きていたって、くだらないのぉっ、でも……はぁっ、信じることは出来なくても、破壊は容易い……っ、ぁんっ、あん……何だって、壊れるのは、一瞬なのぉ…………」
「喜びも、悲しみも?あの人が言いそうなことだね。姫猫……。その通り。生きてたってくだらない、ただ死ぬ理由もないから生きてるの。有本さんは、何を壊したいのかな……。神様?日常?」
まづるの一部が、私の膣内(なか)を支配していた。
支配。
そう、愛撫と呼ぶにはあまりに酷い。殺人的な電流が、ただ一点、私の異常な収斂を煽動する一点を、あくまで優しくなぶっている。時折、指の腹が陰毛をからかい、クリトリスを掠めてゆく。まづるは私にキスをして、乳房を吸って、食傷を得る釁隙も許さない。
「にん、げん……んん!……」
まづるは私に語ることも強制していた。
壊れたい。壊れたい。壊したい。壊れたい。壊したい。それは、全てが虚無だから。
有本さんは、人間を破壊したがっている。
人類は、むやみやたらと増殖してきた。むやみやたらと増殖してきた人口が、地上を破壊していって、彼ら自身の奪い合った富の不足に不満をいだく。枯渇は政の所為ではない。罪ない権力者達をなじるより、いっそ劣悪な人間を処分してしまった方が、経済ばかりか治安も優れる。
もっとも人類を選別したとして、有本さんにしてみれば、有本さん自身も醜悪らしい。
私も同じだ。地上のあまねく人類を処分したところで、もとより何不自由なく暮らしてきた私自身が不幸なのだ、何も変わらない。
ただ、壊れたい。壊れたい。壊したい。壊れたい。壊したい。
「ああああぁぁぁ!!まづるぅぅっっ……ひんっ、あん!あぁぁぁぁぁああああああっっ…………」
こうも愛おしくて、こうも憎い。
肉体は天の門を突き破りながら、満たされない私自身が憎い。