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淫徳のスゝメ
第5章 私の暗黒時代のこと
有本さんは、例のごとく彼女の遊女を私に抱かせた。
私は名前も知らないメイドを征服して、飼い主の自涜を心ゆくまで満足させると、彼女の罪科を捏造した。少女は有本さんの指名したメイドによって調理場へ、芳しいブーケに変わり果てて、私達の寝床に戻った。
軽食をつまんでいる内に、有本さんの指が私を這った。有本さんの唇が、私を求めた。
何より私を狂わせたのは、有本さんの精神だ。
「んっ、んんぅ……はぁっ、それでね……」
私は、まづるに私の役を押しつけていた。
まづるの肉体は酔い痺れるほど美しく、官能的で、私の血液という血液を劣情のマグマに変えるだけの威力がある。
そしてその指は、有本さんのあまねく長所をかき集めても至らない。私には、まづるをしのげない。
羞恥のために欲望を諦念するという最低の行動を許容してくれるまづるの好意に、こうして私は甘えてしまう。
「ああっ、あぁぁっ、ぁっ……」
「落ち着きな、姫猫」
「はぁっ、はぁっ、……」
「話しなさい、それで、どうしたの?姫猫はこんな風に抱かれながら、どうしたの。……」
まづるの唇が、また、私の嬌音を咎めた。
キスされればされるだけ、私の口舌は行き場をなくす。
私は、まづるに愛撫を緩めるよう請った。だが、もとよりまづるの呼び水は、強烈な刺戟があるのではない。確実な刺戟があるだけだ。