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淫徳のスゝメ
第5章 私の暗黒時代のこと
「私を育ててくれるために、それまでにもパートはやっていました。けれど、どこも長く続かなくて……。あの人は私達に手を上げていましたが、お母さんは私を言葉の暴力で苦しめようとしていました。蓮美先生の薬のお陰で、母は元気になりました。初めて親子でちゃんと話して、私にも母の気持ちが分かるようになって……。今では一緒に出掛けたり、私も会社の仕事が順調で、母もパートをやめて好きなことをしています。楽しい毎日です」
ただし、この母娘を救ったドラッグは、少量で効果を発揮して、且つ中毒性も除かれている。三度の処方で半永久的に適度な興奮状態を得られる薬は、庶民が手を出すのには高額だった。
そのため、胡蝶は休日をここでのアルバイトに使っているのだった。
「こんなに小さな家で、全員に家事をさせていても手が空くの。術の手伝いや接待がここでの主な業務なのに、この娘には恋人がいて、どうやら彼以外の前では不感症になるのね。脱がせて触る程度では、もちろんダメ。あらゆる手は尽くしたわ。それこそ姫猫が思いつくかも知れないような、強制的な快楽もね。でも、少なくともそういったものには嫌悪感を催すの。私には分かるわ」
「彼女をエクスタシーに導けば良いんですか」
「ええ。私の目から見て一切の嫌悪感も持たない状態で、潮を吹かせられたら合格」
私は、胡蝶を寝台にいざなった。
胡蝶は、とろけるような唇をしていた。
私は彼女の肩を抱いて、息を止めてキスを押しつける。
頼りなげで、そのくせ芯があって、素直に私を受け入れる。舞さんの従順さがそこにはあった。だが、かの人がやがて醸してきた欲望が、案の定、この女性からは得られない。