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淫徳のスゝメ
第5章 私の暗黒時代のこと
蓮美先生の占術は、いかがわしい、羽目の外れた行程だった。
私とまづるは蓮美先生に従って、各々一体の女体を選んだ。すると蓮美先生は、二つの皮袋を持ち出してきた。五十粒ほどの水晶が詰めてあった。蓮美先生は厳かな顔つきで、私の選んだ女体の方に、無色透明のさざれを並べた。ヴァギナが象ってあるキャンドルの火が、ムスクの染みた女体を妖しく照らしていた。
蓮美先生は私に興味や憂い事を訊ねながら、女に呼び水をかけていった。女体は激しく喘ぐようになり、水晶が、ばらばらと寝台の下に散らばった。残った水晶が一粒になると、蓮美先生はそれを拾い上げて、占い師気取りで話し出した。
「姫猫。貴女は稀に見る高貴な命数の下にいるわ。ただの裕福な人間ならどこにでもいる、だけど貴女には物理的豊潤というよりも、持って生まれた精神、徳、細胞の断片に至るまで、強烈な運気を集める引力が備わっている。まさに選ばれし人間ね」
「お世辞は良いわ。そんなこと、占わなくてもお分かりでしょう。それに私は運気に頼ったことはない。人が勝手に私を畏れ、私に傅いているだけよ。それより、まづるとは永遠に一緒にいられるの?こういう浮かれた遊びには、浮かれた恋の悩みがツキモノだもの」