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淫徳のスゝメ
第5章 私の暗黒時代のこと
私達は、蓮美先生に終古の有無を訊ねていた。
友情で結ばれた私とまづるは、めでたい蒙昧家達の目から見れば、互いを除く依存の可能性を全て断ち切り、愛とやらを名目にして酔いしれる娯楽を共有している恋人達と大差あるまい。
私のまづるへの情熱は冷める気がしない。
まづるも、運命やら世間やらに蹂躙される性分ではない。
私達に関しては、蓮美先生がいかなる占術を挟んだところで、その結果は全く別次元に存在するはずだ。
「まぁお待ちなさい、可愛い猫ちゃん」
蓮美先生は女体の間近のさざれを三粒拾って、私にそれを握らせた。そして、女体をM字に開脚させて、ヴァギナに水晶を落とすように私に指示した。
「こうかしら」
「見事よ」
蓮美先生は愛液のついた三粒の水晶を拾い上げると、蝋燭の火にそれを透かした。
「姫猫ほど命数が味方についた人間は、大抵、それだけ危険も伴うの。貴女は、持ち得る運を決して無駄にしてはいけない。どんな些細な我慢も気まぐれな同情心も働かせてはいけない。我慢や同情は、運に見放された、弱い人間に生じる不具よ。きよらからいやというほど学んだでしょう」
「ええ。あの子は我慢して人を大切にしていれば報われると信じてた、お母様が彼女を徹底的に洗脳したの」
「ああ、やっぱり……。出ているわ。この水晶に」
その口調は大仰だった。占い師は急に口舌を濁らせて、人間が人間の気を引くために稀に使う、間合いという魔力を置いた。