この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
淫徳のスゝメ
第6章 私が見た海の向こうの嘲笑のこと
企業の重役、国の要人らの横領、労働法違反、パワーハラスメントにモラルハラスメント、セクシャルハラスメント──…ロベルト達はそうした不正を調査してマスコミ関係者に売りつけることの他にも、教師の体罰やエリート大学出身者の痴漢行為の告発、高齢者のマナー違反摘発、または品行方正な紳士の攻撃によって精神科医にかかることになったオーディエンスの告白録の出版して、あらゆる正当の不正を取り締まっているという。
「ここにいる彼らは、一定の審査に通った人材です。狙った組織に潜入出来るだけの素質がある。それまで威張ってきた人間の過失を暴き、彼らを屈辱に貶めることは快感ですよ。偏見にまみれた彼らが尊ぶ人間にこそ、実は怖ろしい凶器が備わっている。ヤツらにその事実を突きつける時、オレは勃起するほどだ」
「一つ良い?ロベルト。貴方達のしていることは、ただの偽善行為じゃない?労働者を助けたり、被害者を暴力から救ったり、採取された底辺の人間にその分を返したり……。貴方は人間が正しいと呼ぶことしかしていない、それでは、貴方はいずれ外面だけは立派な彼らと同類になるわ」
「その点については、オレ達も議論したことがある。しかし、そこそこの家庭の出身で、いくら優れた経歴でも、オレ達が犯罪を起こすわけにもいかないし……」
確かに、ロベルトの後方に肩を並べた一同は、過不及ない品格を備えていた。着ているものも上等だ。
それは、彼らの行動に制限がないことの裏付けでもあった。
「犯罪を起こしたくないなら、起こさせれば良いのよ」
私は、ある一つの提案をした。