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淫徳のスゝメ
第9章 *最終章*私が淫蕩に耽った末のこと
私は、快楽に食傷したあとの脱力感に溺れていった。
クリトリスとアヌスの振動は続いたままだ。
私は数回、強制的なエクスタシーを繰り返したあと、気を失った。それから僅かな夢から引きずり出されたあとも、愛液、潮、尿が私から流れ続けた。
私は凍えきっていた。
何故、私の失神が絶えたのか。和紀さんの平手打ち、そして、バケツ2杯の氷水が私に降り注いだからだった。
「オレのものを、腹に入れたいと言ったな」
「ええ、……」
「何故、そんなくだらないことをほざく」
「くだらないなんて!和紀さん、貴方……私が愛する人との愛の結晶を欲しがることを、くだらないって……」
愛する愛さないの問題を差し引いても、私は耳を疑っていた。
和紀さんの愚問は、いっそ私の聞き違いではあるまいか。
男と女が愛し合う。さすれば、女が結婚指輪の次に望むのは、法にも与えることの出来ない、家族として、人間としての仕事をこなした証だ。
快楽を重んじたセックスは、背徳だ。はしたない格好になって、はしたない場所と場所を結合させる。それだけでも人間らしいと言い難いのに、動物のように感覚に身を任せるなど、私達には不自然だ。
前戯がもたらす感覚は、さしずめ麻酔だ。それこそ私達の役目が子孫を残すところに関係している。
小さな窪みに大きな管を注入する。それは物理的に考えても、まるきりのからくりなしではさすがに痛い。そこを神様が女の苦痛を少しでもやわらげんと、せめてもの慈悲を働かせたのだ。
その麻酔を、娯楽に持ち込む。
お姉様もお兄様も、そして、和紀さんも、神様の慈悲を何だと考えているのだろう。