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淫徳のスゝメ
第2章 私が享楽的親友に出逢うまでのこと
「その通り。私は国の掟に基づいて、法を立てる義務がある。ところで姫猫は、その法が、絶対的な正当と思う?私達がどれだけ従事しても、国民は、目先の平安、恵沢は保たれていて当然のものと驕るの。いっそこうもめでたいご時世だから、国民は不満をいだくし強欲にもなる。とるに足らない私欲のため、平気で他人を蹴落としたがるし、稀にいる肝の据わった人間は、騒動を起こして私達の手を煩わせる。それでなくてもモラルや偏見を盾に彼らは、常に他人をけなしたがるわ。政に不信をいだいて、貴女のお父様のご友人方を困らせる、傷つけるような言動なんて、息をするように繰り返す。私達を盲信の脅威でおびやかす法は、そうした血に飢えた獣も同然の人間さえ重んじるのよ。理不尽だこと。彼らは無力で、彼ら自身では何もしない、歴史のどんな役にも立たないくせに」
「同感ですわ。何もしない庶民達が、不平不満を口にするのは不愉快です」
「だからね、私が私に与えられた仕事を嘲笑するのは当然……もちろん、私は現状に不自由なくてよ。悪党呼ばわりされる人間を制裁する権限あってこそ、悪党呼ばわりされる人間を、保護する権限もあるのだもの。裕福な人間が裕福なのは、他者から相応の利益を搾取しているから。貧民は、道徳の方も貧しいのだから、いつの時代も地を這うばかり。そう、だからと言って、私達も油断していてはいけないわ。人間は我が身可愛さに何をするか分からないから、いつ何を強奪されるか。私達は常に奪うことに神経を尖らせていなければならないし、その点、良人の行動は誇りに思ったわ。臆病な部下のために、大病院を壊したの。そう、女は手に入らなかったけれど、私達は彼の過失を補正した。女はここで、今、全裸で大便を辛抱している。姫猫はどう?彼女が身のほど知らずに傲慢を突き通しているか、家畜のように贖罪しているか、私が適当と判断するとして、どちらが好ましいかしら」
私の腕は、背中に組まされていた。
有本さんが、長いロープを私に巻きつけていた。
上体の動きは全くとれない。乳房はいよいよ襟ぐりの開いたドレスからはみ出そうにこぼれ出し、私は有本さんにいじられながら、快楽に身をよじらせることもままならなかった。