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淫徳のスゝメ
第2章 私が享楽的親友に出逢うまでのこと
「私には……」
「快楽は背徳を伴うもの。私の大好きな従姉妹が言ってた。私には理解出来ないことだけど。舞さんだって、たまに私にいじわるしたら、いつにも増して興奮してない?」
舞さんの胸は、傍目からでも前後に乱れているのが分かった。荒い息だ。逡巡のあと、まづるさんに臀部を出すよう命じた声は、オーガズムを間近にした女のように慄いていた。
私は、さっき私が施されたのと同じ拷問を受けるまづるさんに魅入っていた。
異なるのは、彼女を羈束しているのが縄ではないこと。
まづるさんは、舞さんが鞭を片手に施す責め苦の息差しの鬼胎、私が初め欺かれた飴と鞭の甘美な序盤に羈束され、徐々に増してゆく残忍性に囚われていた。
やんごとなき身分の少女が瑕疵ない肢体を自ら赤くしてゆく眺めは、この上なく淫らで、そして、怖ろしいほど美しい。
私の頭の片隅に、いつかのお父様の理屈が蘇ってきた。
感情が紐づく愛情は脆くても、肉体的快楽をもたらす対象に備わる引力は、愛と呼べること。…………
第2章 私が肉体的親友に出逢うまでのこと─完─