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《愛撫の先に…》
第5章 《リラックスセラピー》
結城さんの唇が触れてる…
夢の続きではないの?

菜々美は結城である事を確認するかのように舌を出し彼の唇を控えめに舐め、
掴まれていない方の手を彼の髪にあて触れる。

契約の時無意識から髪の毛に手を差し入れたあの柔らかな感触が思い出されてく。

結城さんなの…

『誘っているのですか?』
唇をはなし結城は菜々美を見据えて言った。

『誘ってなんかあたし…』
『舌を出し髪に手をまわしたらキスのおねだり、
君は危なっかしいから他の男では誘わないように』

『えっ…』

『2日続きで寝不足はきつい』
結城は再びタオルで彼女の両肩の汗を拭き取って服のボタンを留めてやる。

『顔色…元に戻ったようですね、
悪夢を見ずに眠れそう?』
『そんな事わからない』

結城は照明を消しに行き、
シングルサイズのその布団をめくった。

結城が菜々美の横に添い寝したらしく丈夫なベッドのスプリングも彼の存在を意味した。

えっ!?
えぇっ!?
結城さん!!?
添い寝―――!

『あの…その…』
『抱き枕だと思えば良い、お互いに2日続きで寝不足はきついでしょう』

『抱き枕だなんて思えない…』

『では抱きしめないで横に寝るだけにしましょうか』
菜々美の背中にまわした手を離して彼は横になる。

『悪夢にうなされるなら俺を頼りなさい』

『男の人にはわからない、乱暴された女の苦しみなんて』

『ん…』

『占いや予言なんてあたしの恋には当たらない、
だからあなたなんて大嫌い』

『大嫌い―――か…
受けとめてあげますよ』

大嫌いだと言いながら結城の添い寝を許した菜々美は、再びみるかもしれない悪夢を恐れた為だった。


……
『…ん…』
再びみた悪夢で菜々美は結城にすりより眠った。

結城さん…
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