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《愛撫の先に…》
第5章 《リラックスセラピー》
『その腕を退けてください』

『訳がわからない、
じゃあ何故俺の腕にすり寄り眠った?』

『乱暴され押さえつけられた男の人の腕が怖いくせに…
手をのばされると恐怖心で身がこわばるくせに、
陽子以外に結城さんしか頼れなかった…』

ウェストに置かれた腕がそっと離された為に、
彼女はうつむいた顔をあげると彼の眼差しに見つめられ。

『続けて…』
見られながらの結城の次なる言葉の促しは優しさに溢れ。

『わからない…
ただあの日の悪夢を見ると憎むべき男の人の腕なのに、真夜中に助けを求めてあなたの部屋の前で座ってた―――。
どこかで安らぎと安心感を求めていたのかもしれないの。
理屈も理由もわからないけどあたしはあなたを頼ってしまった』

『君の中で変化があったのは感じていた』

『何もしない?』

『えっ?』
『あたしが怖がる事…』
『ん…』

菜々美は安心し結城の側で寝息をたて始め、
彼は布団をかけ直し眠りにおちていった。

***

次の朝、
同じベッドで眠った事に菜々美は結城を見るなり赤い顔。
『眠れましたか?』
『はい』
『俺の腕はお守り代わりですね』

またしても無意識に腕を必要としていたようだ。


……
『合コン?』
『はい』
朝食を出された時に何気なく伝えた事。

『だから夕食もいらないと?』
『相沢さんに誘われて』

相沢と彼氏が互いの友達の頼みに引き受けた合コンに、菜々美は承諾していたのだ。

結城さん引き留めてほしい…

陽子から菜々美の内面の気持ちへの言葉を否定する為に引き受けた合コン。

長い1日になりそうな予感がしていた。
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