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《愛撫の先に…》
第5章 《リラックスセラピー》
正午過ぎの化粧室、
菜々美は疑わしき陽子の言葉への返事に苦悩する。

『菜々美のしようとしてる事がわからないっ、
男への恐怖心が消えたわけじゃないでしょ。
合コンに文句を言う必要はないけど菜々美は…――』

『恋を諦めるなって言ったのは陽子じゃない』

『合コンなんか行かなくても側にいるじゃないっ』

『陽子もういいっ』

相沢が後ろから菜々美の肩を叩いて目配せしてくる。
『6時に指定した店によろしくぅ』

陽子が相沢を睨み、菜々美さえも睨んでく。
『菜々美のバカ!意地っ張り!』
昼休みの陽子の忠告――。

『何をしようと構わないけど合コンの行きつく先は、
君が恐怖心をだいている行為だと思いますが』
朝の結城の忠告――。


……
20時30分。
相沢・彼氏を除いた3対3の男女だったが、
意気投合した他2カップルは席を外した為に合コンは各自解散となった。

店を出た矢先カップルになりそこねた余った男が、
菜々美の手を掴んだ為に陽子・結城の忠告を思い出していた。

陽子…
結城さん…

ごめんね―――

脂ぎり無駄に日焼けした調子のいい男は暗い方向へと向かっていく。
『離してください!』
『合コンに来といてそれはないんじゃね?』

不意にすれ違う集団の中で聞きなれた声に反応する。
高瀬さん…!

『高瀬さん!お願い!
あたしを助けてください!』

『はぁっ?
誰かと思えば江崎さん痴話喧嘩?』

『違います!お願いします!』

『俺の次はそいつなの?
前カレ今カレで比べられるのはえらくバカにされた感じ』

集団の中に乱暴したあの2人もいた。

『あたしを助けてください!』
菜々美は通り過ぎようとしている彼らにもう一度叫んだ。

『見返りはなんなの?
あんたまったく濡れないけど気晴らしに抱いてもいいよ』

ひどい…
だけど腕を引っ張る男よりは…
好きだった高瀬さんだもん…
少しは感じるかもしれない…

『高瀬さん!あたしを抱いてください』
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