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《愛撫の先に…》
第6章 《ぬくもり…》
急な雷雨の為に道路を行き交うタクシーは空車ではなく、
菜々美は歩きながら次を待っていた。
次に停まったタクシーだったが彼女の隣に立った妊婦・年配の方々に2台とも譲ってしまう。
ゴロゴロ‥ザアアアー‥
雷に激しさを増す雨に菜々美は体を震わせる。
30分はそうやってタクシーを求めたが空車は見つからず、
仕方なく駅前行きのバスを探す事にする。
傘に打ち付ける雨粒に憂うつそうに溜め息をもらす。
『中谷将希――名前入りの傘…もしかして大事な物をあたしに?』
菜々美は普通にさして使っていた自分自身を責めた。
彼女のそんな思いやる気持ちが通じたかのように雨は次第に小降りになり止んでいく。
傘を閉じしっかりと握りしめ向こうの交差点まで走る。
20時に中谷と別れ、
只今の時刻は21時30分となっていた。
交通量の多い交差点。
雨の止み間を待っていたかのように人々は、
二次会や家路に急ぐように横断歩道を走り。
人と人にぶつかりながらも菜々美もその人ごみに混じり渡りきる。
歩行者信号が点滅しはじめた頃、
手にしていた傘がない事に気がついた!
歩行者があわてて走り渡りきる横断歩道の端に傘はあった!
確か何人かの人達とぶつかった時?
いけない!
あのままじゃ傘は車に潰されてしまう!
中谷将希と刺繍がされた傘は特別に違いないの!
菜々美は傘を取りに走り出した時、車も動き出していた!
ギー‥
最前列の車からとっさにブレーキを踏む音、
後列の車はアクセルからブレーキを踏む音。
だが飛び出した菜々美と車とは至近距離の為に鈍い音がする。
ドンッ‥
そんな鈍い音が‥した。
『ばか野郎!』
最前列の運転手が窓から顔を出し怒鳴っていた。
痛い?
ううん膝を擦りむいただけ…
膝を擦りむいただけ?
あたし車に跳ねられたんじゃ?
温かいの…
『君は…なんて無茶苦茶な事を…』
うつ伏せになった頭前方から声がした。
えっ?
この声は―――?
菜々美は歩きながら次を待っていた。
次に停まったタクシーだったが彼女の隣に立った妊婦・年配の方々に2台とも譲ってしまう。
ゴロゴロ‥ザアアアー‥
雷に激しさを増す雨に菜々美は体を震わせる。
30分はそうやってタクシーを求めたが空車は見つからず、
仕方なく駅前行きのバスを探す事にする。
傘に打ち付ける雨粒に憂うつそうに溜め息をもらす。
『中谷将希――名前入りの傘…もしかして大事な物をあたしに?』
菜々美は普通にさして使っていた自分自身を責めた。
彼女のそんな思いやる気持ちが通じたかのように雨は次第に小降りになり止んでいく。
傘を閉じしっかりと握りしめ向こうの交差点まで走る。
20時に中谷と別れ、
只今の時刻は21時30分となっていた。
交通量の多い交差点。
雨の止み間を待っていたかのように人々は、
二次会や家路に急ぐように横断歩道を走り。
人と人にぶつかりながらも菜々美もその人ごみに混じり渡りきる。
歩行者信号が点滅しはじめた頃、
手にしていた傘がない事に気がついた!
歩行者があわてて走り渡りきる横断歩道の端に傘はあった!
確か何人かの人達とぶつかった時?
いけない!
あのままじゃ傘は車に潰されてしまう!
中谷将希と刺繍がされた傘は特別に違いないの!
菜々美は傘を取りに走り出した時、車も動き出していた!
ギー‥
最前列の車からとっさにブレーキを踏む音、
後列の車はアクセルからブレーキを踏む音。
だが飛び出した菜々美と車とは至近距離の為に鈍い音がする。
ドンッ‥
そんな鈍い音が‥した。
『ばか野郎!』
最前列の運転手が窓から顔を出し怒鳴っていた。
痛い?
ううん膝を擦りむいただけ…
膝を擦りむいただけ?
あたし車に跳ねられたんじゃ?
温かいの…
『君は…なんて無茶苦茶な事を…』
うつ伏せになった頭前方から声がした。
えっ?
この声は―――?