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《愛撫の先に…》
第6章 《ぬくもり…》
菜々美は式場でのツーショットと陽子の突拍子もない提案に寝不足な朝を迎え、日曜日だという事で慌てる事もなく携帯に手をのばす。

洗濯と掃除を済ませ出かけようとしたお昼過ぎ陽子からの電話。
『結城啓輔から返事あった?』
『人ごとだと思って楽しんでない?
あたしまだ答えなんて出ない』
『出ないも何ももうメッセージ送ってるんだから素直に身を任せちゃったら?』
結城からの電話はそれからすぐ後マンションを出ようとしていた時である。

『あのメッセージは陽子さんの意思?君の意思?』

『!?――…』
結城からの電話は初めてで耳元に直接語りかけられるような錯覚になる。

『あのメッセージとはいったいどんな内容なんですか?』
彼女の知りたいような知りたくないような口調に、
彼はわかっていたかのように苦笑する。

【抱いてください、
結城さんに体開発されたいの。菜々美より】

結城は陽子からの菜々美名前のメッセージをそのまま伝えていた。
『体開発されたいの?菜々美さん』
そう問いかける結城の声色が変わった為に彼女はドアに寄りかかり一呼吸する。
体開発って陽子ってば!
メッセージをそのまま伝えてくる結城さんも結城さんだわ…
あたしが初なのか陽子や結城さんが普通なのか、
結城さんの声色に落ちつかなくなる…

『体開発なんてあたし…』
『セックスはしないって言った君の変化かと思っていたのにね、
陽子さんの仕業ですか。
君はずっとこのままセックスをせずに若い体をもて余す?』

『陽子と同じように説得しようとしないでください。あたしセックスで濡れないんだからっっ』

『君が?』
結城は意味ありげにまた笑った。
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