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《愛撫の先に…》
第7章 《感情のおもむくままに…》
『金髪はあんな彼のような人物を寄せ付けないようにする為の…――
俺なりの鎧(よろい)みたいなモノ…――』

『鎧?』
『鎧さ…
高校では校則もあるから卒業して間もなく金髪にした、
母親は怒っていたけど離婚した申し訳なさから俺の髪を撫でて…
「いたむから髪のケアだけはしなさい」
と一言で許してくれた』

『…うん』

『中谷さんと将也・翔子は驚き苦笑して俺の髪をくしゃくしゃにして泣いた』

『何故?』
『俺は中谷家・翔子には気を許しているけど、
他の人物から身を守る鎧みたいなモノだと笑ったからだ…
菜々美さん大丈夫だから泣かない約束』
『はい…』

泣かない約束なんて傘を渡しに行く前に車の中で交わした言葉…
あたしの好きな金髪にそんな哀しみが隠されていたなんて…
泣いていいですか?

『菜々美さんもうふっ切れているから肩を震わせ哀しまないで…
あのカンニング騒ぎから俺は中谷さんや将也と勉強をするようになった。
今は専務だけどあの当時社長だった中谷さんは頭が良く、
その中谷さんの言葉を信じて俺はグレないで将也と競うくらいの成績に変わっていたから、
金髪とひと睨みと自慢の成績だけで俺は名の知れた有名会社でトップレベルの功績を出していた』

『最初からホテルオーナーじゃなかったの?』

『トップの業績にも飽きた頃翔子の言葉を思い出し、非日常的な空間に身を置くのもぎすぎすした功績社会から離れる決断となって。
紆余曲折もあってスイートタイムを立ち上げた』

『紆余曲折?苦労したの?』

『最初から上手くいく事業なんてあるはずがない、
いろいろ勉強をしホテルの事をわかった上で成り立つ今がある』

『今がある?オーナーだって事が?』

『「楽しかったよ、昨日は結婚記念日だったから素敵な空間をありがとう」
とお客様の声を聞いてから俺はホテルサービスがおもしろくなって。
頭をさげる事が義務感ではなく感謝へと変わり、
後は君の知るとうりの今の結城啓輔というオーナーがいる』

『オーナー…結城啓輔さん』

『改めて言わないでくれないか?照れるから…』

『オーナー…あたしスイートタイムが好き』

『金髪は?』
『好き…――』

『俺の過去からなる金髪をバケツの水から守ってくれて俺は泣きそうだった…
ありがとう――、
だけど次からはそんな無茶苦茶な行動はするんじゃない…――』
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