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《愛撫の先に…》
第1章 《プロローグ》
『陽子なんであたしに噂のメール送るのよ?』
菜々美はメール画面を削除しようとした為に陽子が携帯を奪いとる。

『あたしの携帯っ』

『…そんなだから片思いの彼に片思いのままなのよ、はい携帯』
削除しようとしていた画面は何故か送信完了になっていた。

『送信完了?』
『見てわからない?スイートタイム予約しちゃった!』
『えぇぇぇぇーっ!』
コピー室に菜々美の驚きの声が響く。

恐る恐る送信メールを開くとものの数分ながらに要点が書かれている。

【江崎菜々美・24歳。
○月○○日(金)夜9時。
よろしくお願い致します】
こんな内容にたじろぐ。
『削除してくれてるもんだとばかり…もぉおっ、削…』

陽子はコピーされた部数だけの資料を手にした。
『予約キャンセルって感じ悪いよ。
ほらほら会議資料のコピー半分持って』
『………』

陽子が勝手に予約した昼前の時間から2時間後、返信メールが届いた。

【了解です。
場所指定ない為にスイートタイムの地図を貼っています。
結城】

***

スイートタイムは女子社員の間でも知らない人はいない。

勤務先のビルから駅周辺へ向かう途中に見えてくる、お洒落な外観20階のホテル。

予約当日夜8時40分。
菜々美は震える足でロビーへと向かった。
陽子なんて事してくれてんのよぅ…
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