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贖罪の檻。
第14章 押し寄せる現実
残酷な一言に自然と涙が零れた。
「〝体調〟・・・悪そうだな。ほら、身体を診せて見ろ。」
涙を見せる少女に極力優しく声を掛ける。
「・・・誰、なの?」
涙とオレンジの灯りのせいで相手の顔が見えない。
「まぁまぁ。ほら、身体を支えてやるから水を飲め。」
寝かせた少女の背中を支えて抱き起こす。
「ほら・・・」
「要ら、ない・・・」
「そう、嫌がるな。俺は、医者だ。」
水差しからコップに水を注いで先に一口飲み込み少女に〝安全〟を見せる。
『 俺は、医者だ。 』
目の前で水の安全性を示している男の言葉に思考が巡る。いつだったか同じ言葉を訊いた。
「ほら、水だ。安全だって判っただろう?」
「・・・あなた、どこかで。」
自分にクスリを打ち浚った張本人に背中を抱かれ水を勧められている状況に身体が震える。
「思い出したか?そう震えるなよ・・・って、無理か。」