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贖罪の檻。
第25章 かいま見えた光
「・・・からかって、ますか?」
言葉に一喜一憂してはならないと、昨夜のことで身に染みていた。
引き寄せて追い堕とすのを好む者が居ることを思い知っている。
「いいや。望むのなら、俺がお前を逃がしてやる。」
「っ・・・・・・」
男の言葉に手を引いて俯いた。胸が締め付けられて顔を上げられない。
「月良?」
俯いて泣いてしまったと思い席から立ち少女の前に膝を付いて声を掛ける。
「大丈夫、か?」
「ふっ、はっ・・・あははっ!」
哀れまれても蔑まれても己の行く道を決めることなど出来ないと知っていた。それなのに男の手を取ってしまいたくなった。
逃げれば兄がどんな目に遭うのかが判らない。
この生活は、人道的に許されない。しかし権力は、法制度を時に凌駕するとこの生活に堕とされて身に染みていた。