この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
贖罪の檻。
第27章 締められる手綱
「お父さんが真犯人が他に居るって思ってるみたいですよ。」
「なん、ですって?」
「聖子は、浮かばれませんねぇ。」
「わざ、わざ・・・そんなこと言いに来たの?」
「いいえ。今日から離れを借りるので挨拶を、と思いまして。」
「そう。勝手にしなさい。もう、あなたしかこの家には居ないのだから。」
嫌みのひとつも言ってやりたかったが女を産みその子も亡くした今では、発言権が弱い。
「はい。では、お邪魔しました。」
いちいち癪に障っていた女の哀れな姿に満足して母屋を出た。
「椥さま・・・本当に宜しいのですか?」
「どうしました?」
「月良さまを離れになんて・・・」
「大丈夫ですよ。よく、言うでしょう・・・・・・
〝木は、森の中に隠せ〟、って・・・ね。」
父に居場所を勘づかれない為には、1番あり得ない処に移動しなくてならなかった。