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贖罪の檻。
第32章  兄の元へ・・・
  


 我に返って支度を始めた。


 》 》


 兄から離されて自分がどれだけ無力かを思い知った。そして兄が自分を守っていてくれたことに改めて感謝した。
 そしてその兄の元に帰れることは、倖せだった。


 《 《


「おい、椥。」


「なんですか、わざわざ海外にまで電話を寄越して。」


「月良、逃げたみたいだぞ。」


「はい?」


 海外に着いてすぐに弁護士から連絡があった。その内容は、信じられないものだった。


「なにを言っているんですか。」


「だから、月良が逃げた。汰音がまんまと裏切って会長に手引きしたんだよ。」


「なんですって?」


「だからさぁ~俺が取り戻してやろうか?」


「なにを言っているのですか・・・」


「俺もちょっと背に腹は、変えられないからさぁ。
 お前のモノを取り戻してやるからさぁ。俺も助けてくれよ。」


  
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