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贖罪の檻。
第4章 もがれた果実
「あぁ、ごめんなさい。押しちゃった、みたいです・・・。」
「いいえ。ご用があれば押して頂くことになっておりますので構いません。」
優しい声で返す。
「いまから、参りますね。」
「・・・・・・え?」
ブツっと機械音がして通信が終わったのだと判ったと同時に迫る恐怖に気が付いた。
自分は、部屋から逃げようとしていた。しかしそれをさせない為に連絡手段は、通信のみ。そして声しか知らない相手が部屋に近付いている。
通信した場所からどれくらいかかるかも判らない。
「隠れなきゃ。」
咄嗟に思い付いたのは、そんな単純なことだった。
しかし身体は、強い拒否反応を示してガタガタと震えていた。
「(どこに・・・)」
逃げ場などなく隠れられそうにもなく上半身を起こしてゆっくり這うようにベッド横の隅になんとか縮こまって体育座りする。
コンコン
「月良さま、執事の彼方<カナタ>です。」