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贖罪の檻。
第5章 兄の罪
「どうしたのです・・・月良。」
「いやっ!!」
パシン・・・
「あっ・・・」
伸ばされた手を振り払おうとして近付いていた男の頬に手の甲が当たってしまった。
「おやおや、ずいぶんと嫌われたものですねぇ。」
「っ、ごめっ。ヒッ!!」
顔を上げると息が止まりそうなほどの冷たい氷のような笑顔が向けられていた。
「・・・彼方。」
「はい。」
「あとは、私が面倒を見るから・・・下がれ。」
「あっ・・・
(行かないで・・・。)」
返事をしない壁際の男をチラッと見る。
カシコ
「畏 まりました。月良さま。また、参ります。」
「(いやっ、いやぁ・・・)」
声なき声がノドに張り付いて出て来ない。男がドアを閉めて出て行った。
「さて、と・・・。」
ギシィ
ゆっくりと片膝をベッドに乗せる。
「お行儀の悪いペットには・・・〝躾〟<シツケ>が必要ですねぇ。」