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贖罪の檻。
第5章 兄の罪
完全に怯えきり見開いた瞳さえ反らせずにいる少女に嗜虐<シギャク>心が身にも心にも広がりだす。
「月良・・・ご主人さまが来たらまずは、出迎えの挨拶ですよ。」
「〝ご主人、さま〟・・・?」
恐怖に支配された思考では、上手く物事を整理理解出来ない。ヘタなオウムのように返すだけ。
「はい、そのままの意味です。月良。あなたは、昨日から私のモノです。」
「ち、がう・・・。」
威圧的な男にポツリと返せた。
「なんですか?」
「私が、あなたのモノですって?」
反抗する気持ちが少し戻って来た。
「ええ、そうですよ。ですから主への挨拶は、大切ですから。」
少し反抗的になったことも楽しみのひとつであった。
「私は・・・誰のモノでも、ありませんっ!!」
震える手を握り締めながら叫んだ。
大金持ちできっと不自由なことなど感じたことない一族の男に理不尽に自由を奪われたくなかった。