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贖罪の檻。
第5章  兄の罪
  


「私があなたのモノになって昨夜のような行為を強いられる理由が知りたいです。拒否権がないのならせめて、理由が・・・」


 自分の身に降りかかる理不尽の理由を知りそれを抱きしめて流し過ごそうと思った。


「そうですねぇ。まず、さきほど言った通りにあなたは〝加害者の妹〟です。言葉の意味は、判りますよね?」


「はい。でも・・・」


「ええ。言葉の意味は、判っても言われる謂<イ>われが判らないのですよね?」


「はい。お兄ちゃんが・・・〝なにか〟したんですか?」


 潤んだ瞳で男を見つめる。優しい兄の見知らぬ素顔を覗くようで不安だった。


「では、端的にお話ししましょうね。」


「お願いします。」


「あなたのお兄さんは、私の妹を殺害した罪で昨日逮捕されました。」


 ハッキリと抑揚もなく告げる。少女の瞳から涙が一粒落ちた。


「どう、いう・・・」


「私の妹を殺害したとして逮捕されたのです。私も驚きました。」


  
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