 この作品は18歳未満閲覧禁止です
 この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
わたしはショートケーキが嫌い
第1章 インターホンを鳴らしたのは、

食後にショートケーキが出た。
可愛い花柄のお皿に乗せてママが出してきた。
甘ったるそうな生クリームの上には酸っぱそうな苺がボトりと置かれている。
「パパがケーキ屋さんで買ってきてくれたのよ」
うん。知ってる。
「美咲、ショートケーキ好きでしょ?」
ううん。嫌い。
「さ、食べなさい」
食べたくなかった。
満腹だからとか、そういうのじゃなくてただ単に私はショートケーキが嫌いだから食べたくなかった。
けど、
「食べなさい」
私はショートケーキを食べるしかない。
ショートケーキにフォークを軽く当て、力を入れて押しす。
フワンとした感触がフォーク越しに伝わる。
それだけで口の中が生クリームの味でいっぱいになる気がした。
舌に絡み付いてネチョネチョになった生クリームとスポンジの味がする気がした。
「パパがお風呂出たら美咲も入りなさいね」
「‥‥うん」
お風呂場からはシャワーの音と水が跳ねている音が聞こえてくる。
私はフォークの上に乗せたショートケーキのカケラを口に入れようとした。
ネチョネチョになった生クリームとスポンジの味が気持ち悪いから嫌い。
ネチョネチョになって、クチュクチュになる嫌なスイーツ。
目を閉じて食べようとした時、インターホンが鳴った。
 

 作品検索
 作品検索 しおりをはさむ
 しおりをはさむ 姉妹サイトリンク 開く
 姉妹サイトリンク 開く


