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わたしはショートケーキが嫌い
第5章 はじめての宗教


油は使えないな。なら脂っこいのもダメか。
果物なら食べれるかな?お粥はどうかな?
‥‥‥お粥作れないや。


あらかじめ買い溜めしておいた食材とにらめっこしながら考えてみたけど、僕は料理が出来ないしなぁ。
盲点だった。


とりあえず林檎を剥いてみることにした。

スーパーの袋から林檎を一つ取り出してまな板の上に乗せる。
包丁を持って林檎に刃を食い込ませた。

サクッと言う水々しい音が鼓膜を擽る。
その瞬間思い出してしまった。

美咲ちゃんの母親の背中から抜かれるたびに噴き出ていた血飛沫の音を。

ゴクリと唾を飲み込む。

「ふぅー‥‥」

呼吸を整え林檎の皮を向く手を進めた。
はじめての林檎の皮剥きだから上手く剥けてない気がする。

なんか想像と違うな。
もっとこう、薄く上手く向きたいのに林檎の身ごと厚く向いてる。

シャリシャリ音をたてながら赤い皮を脱がされていく林檎の姿は、物凄く汚い。

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