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わたしはショートケーキが嫌い
第1章 インターホンを鳴らしたのは、
「なんださっきから騒がしい」
お風呂から出たパパが腰にタオルを巻いてリビングに来た。
ママはパパに駆け寄り事の成り行きを話した。
「さっきから変な男がドアを蹴ったりしてるの!!」
「変な男?」
「見た目は若いわ。声も若かった。あなたの部下だって嘘もついてたわ!」
「落ち着け京子」
取り乱すママの肩を撫でながらパパが私を見た。
私は反射的に顔を逸らした。
「‥‥‥ショートケーキ食べてないじゃないか」
不機嫌そうにパパが私にそう言い、舌打ちをした。
相変わらず玄関のドアからは激しい音がする。
パパは溜息を吐くと玄関に向かった。
腰にタオルを巻いたままで。
「あなた開けない方がいいわ!危ないから!」
「そんなに怖がるな京子。俺は昔ボクシングやってたんだ。いざとなったら倒してやる」
そうママに言って、パパはドアの鍵を開けた。
ガチャリと鍵を回した音が聞こえたと同時に勢い良くドアが開けられた音もした。
私はすぐに理解した。
勢い良くドアを開けたのはパパじゃない。
「ボクシングとか聞こえたけど?お宅そんな強いの」
あの男が勢い良くドアを開けたんだ。