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わたしはショートケーキが嫌い
第8章 他人事
放課後、俺と恭平はスクールバスには乗らずに最寄り駅行きのバスに乗った。
最寄り駅に着くまで俺と恭平は何も話さなかった。
ただ黙って車内に響く運転手のアナウンスを聞いていた。
『次は終点、土浦駅です』
目的地に着いた俺と恭平はバスを降りて駅ビルの中を目的もなく見て周り、ちょっとだけ話してまた黙った。
沈黙は心地いいものではなく、重くて喉を締め付けるように苦しかった。
酸素はあるはずなのに酸欠になりそうだ。
「‥‥‥飯食いに来たはずが駅ビル回っちまったな」
重苦しい沈黙を破ったのは恭平だった。
へへっと無理に笑顔を作ってそう話しを振ってきた恭平に、俺は笑い返した。
お互いに貼り付いたような笑みを見せ合う俺達の間には厚い壁が存在する。
きっとこの壁を割ったらどちらも怪我をするだろう。
いつかはバレる。
殺人現場には俺の痕跡が多少たりとも残ってしまっただろう。
警察が俺のとこに来るのも時間の問題だ。