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わたしはショートケーキが嫌い
第1章 インターホンを鳴らしたのは、
「で、ママは何してるのかな?」
後ろで包丁を構えているママを見ることなく男はそう聞き、クスッと笑った。
ママは震えていて男を襲わない。いや、襲えないんだ。
「愛しの旦那やられたのに突っ立ってるだけ?」
「あの人をどうしたの?殺したの!?」
ガチガチ歯をぶつけ震えながらママは男にパパをどうしたのか聞いた。
すると男はママの方に振り返り、パーカーのポケットから何かを取り出しママの足元に投げた。
ボトっと水風船が落ちたような音がした。
「え‥‥‥?」
カランと、乾いた音がリビングに響く。
ママは青い顔を余計青くして台所のシンクの中に顔を突っ込んだ。
「うえぇぇ!!」
嘔吐するママ。
私は怖くて怖くて堪らなかった。
一体ママは何を見たのか。
男はゆっくりとシンクの中にゲロをぶち撒けるママに近付く。
そしてママが落とした包丁を拾い上げーーー。
「あんたも同罪だクソ婆ぁ」
グチュっ!っと、熟れた果実が地面に落ちたような音がした。
その気持ち悪い音がした少し後に、ママの苦しそうなうめき声が聞こえてきた。
ママをよく見ると、背中に包丁が刺さっていた。
まるでママの背中から生えているように深く。
すると男はママの背中に刺さる包丁の持ち手を掴むと、ゆっくりと引いていった。