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わたしはショートケーキが嫌い
第11章 男の秘密を覗くもんじゃない
質問の意味が理解できなかった。
この質問の答えを間違えたら私はどうなるのだろう。
もたつく私に彼はもう一度聞く。
「後ろは何に見える?」
命令するような口調と何度も言わせるなと言いたげな鋭い目が私の呼吸器官を狭める。
私は振り向き確かめる。
そこにはやっぱり壁しかない。
「壁‥‥‥」
質問に答えた私は恐怖で目を固く瞑った。
好奇心は身を滅ぼすと言う言葉は間違いではなかった。
浅はかな自分の行動を悔やんでいたら、フワッと温かい何かが私を包んだ。
シャンプーの優しい香りがする。
首元は冷たく、濡れている気がした。
「うっ‥‥‥ひっく‥‥‥」
泣き声?
まるで子供みたいな泣き声に私は目を開けた。
目の前から彼は消えていた。
目の前ではなく視界の端に彼が移動していた。
彼の旋毛が視界の端に映る。
彼は私を抱き締め、私の肩に顔を埋めて泣いていた。
上半身裸でスウェットのパンツしか履いていない半裸の殺人者は子供のように泣いていた。
殺した夫婦の娘の肩に顔を埋めて。
私はこの状況を理解できなかった。
どうして彼が泣き始めたのか。
あの変貌ぶりは何だったのか。
そして、後ろは何に見えるの意味は何なのか。

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