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砂の人形
第2章 パレードの夜
「サルーザ様のご命令です」
やんわりと体を引き離す。姫様は見開いた両目で僕を見上げたまま、動かなかった。潤んだ眼差しが情欲に火を付ける。開きかけた唇は、何も言わずに閉じた。地平線から、全てを焼き尽くす太陽の光がこぼれた。すぐに、日のあたる場所は灼熱の地獄になる。
「お部屋へ行きましょう、姫様」
僕は半ば引きずるようにして、姫様を寝室へ連れ込んだ。しっかりと窓掛布を下ろしているのに、布地を透けてうっすら明るい室内。そこにはすでにグリゴーとゴリゴーがいて、驚いている僕の腕から姫様を引き離してしまった。二人を毛嫌いしていた姫様は、涙で濡れた目で二人を睨みつけた。
「二人共なにをするの。放しなさい!」
「まあ姫様、悪くしようという気はまったくないんですよ、ねぇ」
「さあ、騎士様。どうぞ存分に、腕を振るうといい」
「触らないで!」
二人掛りで寝台に押し倒されても、姫様は気丈だった。
「あなたたちにこんなことされなくたって! お父様の言いつけくらい、守ります」
「モスリーン様の方でそのおつもりでもねぇ」
「あちらがその気にならないことには、ね?」
ゴリゴーが姫様の両腕を押さえつけ、グリゴーが馬乗りになった。異様に長いグリゴーの腕がドレスの胸元に触れると、姫様は流石に悲鳴を上げた。
「嫌っ……」
「触るな!」
その声があまりに切羽詰っていたので。僕も反射的に怒鳴っていた。そんな僕を見ると、双子は不快な笑みを浮かべて姫様を解放した。
やんわりと体を引き離す。姫様は見開いた両目で僕を見上げたまま、動かなかった。潤んだ眼差しが情欲に火を付ける。開きかけた唇は、何も言わずに閉じた。地平線から、全てを焼き尽くす太陽の光がこぼれた。すぐに、日のあたる場所は灼熱の地獄になる。
「お部屋へ行きましょう、姫様」
僕は半ば引きずるようにして、姫様を寝室へ連れ込んだ。しっかりと窓掛布を下ろしているのに、布地を透けてうっすら明るい室内。そこにはすでにグリゴーとゴリゴーがいて、驚いている僕の腕から姫様を引き離してしまった。二人を毛嫌いしていた姫様は、涙で濡れた目で二人を睨みつけた。
「二人共なにをするの。放しなさい!」
「まあ姫様、悪くしようという気はまったくないんですよ、ねぇ」
「さあ、騎士様。どうぞ存分に、腕を振るうといい」
「触らないで!」
二人掛りで寝台に押し倒されても、姫様は気丈だった。
「あなたたちにこんなことされなくたって! お父様の言いつけくらい、守ります」
「モスリーン様の方でそのおつもりでもねぇ」
「あちらがその気にならないことには、ね?」
ゴリゴーが姫様の両腕を押さえつけ、グリゴーが馬乗りになった。異様に長いグリゴーの腕がドレスの胸元に触れると、姫様は流石に悲鳴を上げた。
「嫌っ……」
「触るな!」
その声があまりに切羽詰っていたので。僕も反射的に怒鳴っていた。そんな僕を見ると、双子は不快な笑みを浮かべて姫様を解放した。