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砂の人形
第5章 引力
堅くて平べったい膝。私の体が大好きな膝。テルベーザはときどき、両手で胸を愛撫する傍ら、この膝を足の間に擦り付けてくる。充血した尖りを、円を描くように転がされて、それだけで達してしまうことも何度かあった。堅くて滑らかで、淫靡な膝。
あの行為は確かに、私を傷つけた。……違うわ、行為のせいじゃない。私を傷つけたのはテルベーザの態度。あの、自分はなんとも思っていないっていう態度のせい。行為だけをとってみれば、本当は、私は、それを望んでさえいる。彼のやり方を思って自分で慰めることだって何度もあった。
今だって、心の奥では望んでる。結婚なんかするなって言ってほしい。どこか遠くに二人で逃げようって、そう言って力いっぱい抱きしめてほしい。さっき駱駝の上でしてくれたみたいに。王女じゃなくてもいいって、そう言って。
ああ、私また、虚しい空想で自分を慰めてる。
私は彼の膝に頬を押し当てた。そうしながら、毛布の下で自分の体に指を沿わせる。熱く、ぽってり膨らんだ丘からは、熟れすぎた果実のように蜜が滴っていた。静かな天幕の中で、粘つく音は隠しきれなかった。
「やめて」
毛布の下に伸びてきた手を払う……でも、自分の指を止めることはできなかった。本当はテルベーザが欲しい。いつもみたいに焼けた砂みたいなにおいに抱かれて、彼の愛情を夢見ていたかった。
でももう、終わりにしなきゃいけないってわかってるから。
「何をしているの……外に出てなさいよ、テルベーザ……テーゼっ……!」
名前を呼んだら、みっともないため息が漏れた。そんな私に、テルベーザは黙って手を差し伸べてくれた。私は渇いた人のように、その手を食む。いつものように歯を立てて、彼の手が痛みに力む感覚にますます喜びを募らせる。だってこの時ばかりは、テルベーザが痛みを感じてるってことが分かる。