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いとかなし
第13章 こいすちょう わがなはまだき たちにけり
賢都にそう言われても思い出せないくらい、友達の付き添いで渡したのだと申し訳なくなる。

クロ先輩の顔も思い出せないくらいだ。

「でも、よくそれだけで私の事覚えてたね?」

「…まあ、ね、兄貴目当てで群がる女子の中で、かなり浮いた存在だったから憶えてる」

褒められたのか貶されたのかわからない賢都の感想。

「兎に角!俺と糸さんはちゃんと繋がってるの!」

「それだけで?」

「…数学の巻先生繋がりとか」

唇を尖らす賢都。

「巻先生!懐かしいっ!!あ、ねえ、じゃあ社会誰だった?」

「城田」

「私は安東先生だもんね」

すっかりその場で話し込んでしまったのに気付いた頃には、2時間が経過していた。
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