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いとかなし
第13章 こいすちょう わがなはまだき たちにけり
ランニングを中断させてしまった事を謝りながら公園を出る。

「送ります」

「大丈夫よ、ふゆもいるし、まだそんな時間じゃないから」

「俺が送りたいんです、な、ふゆ?」

ふゆはすっかり賢都に心を許したようで、ふさふさと尻尾を振って応える。

いつもの散歩道、隣にいるのが啓司でない事の違和感と新鮮さ。

「うおっ、此処?」

「あ、うん、でも居候みたいなもので、私のものじゃないから!」

「いい雰囲気ですね、憧れるなぁこういう家」

自分の事を褒められたように嬉しくなる。

「じゃあ、また来週」

「うん、送ってくれてありがとう」

「ふゆも、またな!」

わしゃわしゃとふゆを撫でて、今来た道を戻っていく賢都を見えなくなるまで見送った。
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