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いとかなし
第14章 おもいねに わがこころから
啓司の手が不安で冷たくなった糸の手を握る。
ドアから看護師が出てくると、その表情を伺った。
穏やかにも見える看護師に中へと促されると、治療台の上でふゆは目を開き尻尾を振った。
「特にどこが悪いというわけではないけれど、よると戯れてて疲れたのかな?」
獣医の言葉にほっと胸を撫で下ろす。
「ただ…ふゆももう歳だからね」
頭を撫でる獣医の表情に、啓司は別れを予感していた。
「今夜から…みんなで下で寝ようか?」
帰りの車内で啓司がぽつりと呟いたそれに、糸は拳を握りしめ頷いた。
二間続きの部屋に布団を並べて敷くと、初めて来たあの日と同じように寝そべった。
あの時と違うのは、はれもしぐれも居ない。
丸くなったよると、二人の間に挟んだふゆが居るだけだ。
ドアから看護師が出てくると、その表情を伺った。
穏やかにも見える看護師に中へと促されると、治療台の上でふゆは目を開き尻尾を振った。
「特にどこが悪いというわけではないけれど、よると戯れてて疲れたのかな?」
獣医の言葉にほっと胸を撫で下ろす。
「ただ…ふゆももう歳だからね」
頭を撫でる獣医の表情に、啓司は別れを予感していた。
「今夜から…みんなで下で寝ようか?」
帰りの車内で啓司がぽつりと呟いたそれに、糸は拳を握りしめ頷いた。
二間続きの部屋に布団を並べて敷くと、初めて来たあの日と同じように寝そべった。
あの時と違うのは、はれもしぐれも居ない。
丸くなったよると、二人の間に挟んだふゆが居るだけだ。