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いとかなし
第2章 あふことの たえてしなくは なかなかに
「じゃあ月曜日にね」

見えなくなるまで手を振る千津子をミラー越しに見つめて右折する。

車は30分も経たないうちに、都会のビル群からぽっかり置き去りにされた風景を迎えていた。

本当に環状線の内側なのかと見間違うほど長閑な雰囲気を纏った純日本家屋がそこにあった。

隣に位置する駐車場から鞄を下す。

腰の高さほどの門戸を開けると、石畳が点在しており、右奥には庭さえ見えた。

カラカラと音を立てて引き戸を開ける。

「ただいまー」

啓司の声が響くと、とととっと小さな足音が近づいて来た。

「同居人って…」

「そ、こいつら」

玄関に鎮座したのは二匹の犬と、三匹の猫だった。
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