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いとかなし
第17章 まよいそめし ちぎりおもうが
避けられているのかもしれないけれど、真意を確かめるのが怖い。

お風呂に入り、手足を伸ばす。

1日の疲れをゆっくり癒しながら、目を閉じた。

瞼の裏に浮かぶのは賢都のあの眼差し。

熱っぽい賢都の瞳に、胸が揺さぶられる。

シトラスの香水の匂いも思い出せる。

”糸さん、好きです”

耳に響く賢都の声。

腕の中で賢都はどんな風に囁く?

あの手でどうやって触れる?

糸の指は遠隔操作された様に膝の間に滑り落ちていく。

温かい湯の中でもそこは泥濘んでいた。

「!!やだ…」

急いでお風呂を上がると、パジャマに着替えてキッチンでコップに水を汲んだ。

冷たい水が喉を潤し、イヤラシイ想像をクリアにしてくれる。
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