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いとかなし
第3章 昔はものを 思はざりけり
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「で?その筍ごはんになったと?」
月曜日、オフィスビルのワンフロアが合同の社食になっている其処の窓際でAランチをつついていた千津子が、糸の広げたお弁当に突っ込んだ。
赤系のストライプの二段弁当箱には筍ごはんと彩鮮やかなおかずが詰めてあった。
「噂には聞いてたけど、このお弁当は…凄いわ」
「噂?」
「嫁に貰いたい男、ナンバーワン」
からかう様に笑って千津子は青じそつくねを一つ摘んだ。
「流石、管理栄養士資格保持者!美味しい〜」
ほっぺたを抑えて悶絶する千津子。
朝起きた時にはすでに朝食が出来上がっており、このお弁当がきちんと包まれていた。
洗濯機のスイッチも入っていて、身支度を終えた糸はただ干すだけ。