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いとかなし
第3章 昔はものを 思はざりけり
お風呂上がりの啓司が、お盆を持って居間に入ってくる。
麦茶と共に頂き物の和菓子が載っていた。
「美味しい〜」
すっかり平らげた糸に、啓司は自分の分もと差し出す。
「はい、あーん」
ごく自然に、当たり前に差し出された和菓子に食いつく糸。
「ん、いい子」
よしよしと頭を撫でる啓司に糸の心は乱される。
啓司の膝の上にはさらが居て、糸にしたようにさらも背中を撫でられている。
「甘利さんは…優しいですね」
「そう?」
「お仕事も人の為のものだし」
「仕事なんてみんな自分の為にしているようで、誰かの為になってるんだよ、それに俺の場合は恩返しみたいなものだから」
「恩返し?」
「俺ね、自分で言うのも何だけど、将来有望な高校球児だったんだよね」
麦茶と共に頂き物の和菓子が載っていた。
「美味しい〜」
すっかり平らげた糸に、啓司は自分の分もと差し出す。
「はい、あーん」
ごく自然に、当たり前に差し出された和菓子に食いつく糸。
「ん、いい子」
よしよしと頭を撫でる啓司に糸の心は乱される。
啓司の膝の上にはさらが居て、糸にしたようにさらも背中を撫でられている。
「甘利さんは…優しいですね」
「そう?」
「お仕事も人の為のものだし」
「仕事なんてみんな自分の為にしているようで、誰かの為になってるんだよ、それに俺の場合は恩返しみたいなものだから」
「恩返し?」
「俺ね、自分で言うのも何だけど、将来有望な高校球児だったんだよね」