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いとかなし
第4章 しのぶれど 色に出にけり
酔いはすっかり醒めていたけれど、酸味と甘みの絶妙なレモネードは喉をすっきり落ちていく。

「お酒、そんなに飲まないの?」

「ほとんど喋ってました」

「さすが女子会」

今更ながら、さっきの言葉の意味が知りたい。

糸は啓司の横顔を伺う。

「そんなに見つめると穴開いちゃいそう」

「ごめんなさいっ!」

「何?」

「あの…研修ってどんな事するんですか?」

聞きたかった事はそんな事ではないけれど、少しでも啓司の事が知りたかった。

「今回は義肢装具士さん達の新しい装具の展示会」

「義肢…」

「糸ちゃん、良かったら今週の日曜日に試合があるんだ、見にこない?」

「いいんですか?」

「もちろん、でも俺を応援してね?」

「はい!」
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