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いとかなし
第5章 みをつくしてや   恋ひわたるべき
手際よく火が起こされ、先にバーベキューが始まった。

家族連れも多く、小さな子供達にはプールも催されている。

啓司の猫たちも子供達に代わる代わる抱かれていた。

糸はしぐれを抱いたまま、お茶の入ったコップを手渡されベンチチェアーに腰掛けた。

半分遊び、半分本気の草野球が始まる。

主催者が誰なのかはわからないが、どういう人があつまっているのかは何となく見えてきた。

足がない、目が見えない、指が足りない、耳が聞こえない…それでもみんな手加減なしで文句を言いながらも笑っている。

その中で啓司も大口を開けて笑っていた。

時々、糸に気づいて手を振り、応援を強請る。

「甘利さーん!頑張ってー!!」

しぐれの短い手も無理やり振った。
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