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いとかなし
第1章 などみをつくし 思いそめけむ
「鴻上?おい、大丈夫か?!」
マンションから出てきたその蒼白した表情に、思わず綾時は営業車を降りた。
助手席に乗せた糸は一言も言葉を発せず、ただただ俯いて唇を噛み締めていた。
程なくして同じ出入り口から、歩と菜央が出てきた。
歩はちらりと綾時らを一瞥してそのまま背を向けて歩き出した。
菜央は満面の笑顔で歩の腕に絡みついている。
「鴻上…」
「…お、そくなって…すみません…」
「馬鹿!」
綾時は取り敢えず取引先へ向かったが、糸を車に残して仕事を終えた。
そして友人で同僚の宮野 千津子(みやの ちづこ)に連絡をすると、遅めのランチを名目に会社のそばで落ち合った。
歩の浮気現場に遭遇した事、突然に同棲を解消し今夜中に出て行けと言われた事。
糸は淡々と語った。
マンションから出てきたその蒼白した表情に、思わず綾時は営業車を降りた。
助手席に乗せた糸は一言も言葉を発せず、ただただ俯いて唇を噛み締めていた。
程なくして同じ出入り口から、歩と菜央が出てきた。
歩はちらりと綾時らを一瞥してそのまま背を向けて歩き出した。
菜央は満面の笑顔で歩の腕に絡みついている。
「鴻上…」
「…お、そくなって…すみません…」
「馬鹿!」
綾時は取り敢えず取引先へ向かったが、糸を車に残して仕事を終えた。
そして友人で同僚の宮野 千津子(みやの ちづこ)に連絡をすると、遅めのランチを名目に会社のそばで落ち合った。
歩の浮気現場に遭遇した事、突然に同棲を解消し今夜中に出て行けと言われた事。
糸は淡々と語った。