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いとかなし
第7章 ひとしれず おもえばくるし
膝を跨ぐと啓司の腕の中にぎゅっと閉じ込められる。

「やべ…すげえ嬉しい…」

糸の髪に頬を摺り寄せる啓司は何だか凄く子供っぽい。

「もう一つ、大事な話」

抱きしめたまま話しは続く。

「はれと、さらと、しぐれが貰い手がついたんだ」

「え?貰い…手…?」

「この前の試合でね、来週中には、それからそらもさっき連絡があったから…近いうちに」

「…そっか…いい事…ですよね…」

「うん、寂しい?」

「…喜ばなきゃ…でも…急すぎて…」

突然襲う淋しさに、糸は無意識に啓司に抱きついていた。

「…糸、こういうの凄え嬉しいんだけど、今、俺…結構理性振り切りそうよ?」

「え?あ、あ…ごめんなさい…」

「今日は大目に見たげる…もうちょっとこうしてて」

きゅっと抱きしめ直されて、啓司の匂いに包まれて、足元で猫たちが鳴いた。
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