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いとかなし
第7章 ひとしれず おもえばくるし
縁側で足を投げ出して座っていた糸の元へ、お風呂あがりの啓司が近づく。

「そこ、いい?」

いつもと同じなのにおかしく感じながらも頷くと、啓司はごろりと横になり、糸で膝枕をした。

「甘利さっ…!」

濡れた髪が束になって膝をくすぐる。

「気持ちいい…幸せ」

その表情は見えなくても、声色が甘い。

が、妨害したのは想定外のはれだった。

「いてぇっ!」

啓司の頭と糸のお腹の間に土足で踏み入るはれ。

「はれ!ここは俺の!」

つんっとそっぽを向いて割り込むはれに、糸は微笑んではれを招き入れ、啓司は身を起こした。

「はれといっしょにいられるのは、あと少しだから」

してやったり顔で膝に蹲るはれ。
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