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kiss
第10章 hand
 二週間後、マンツーマンで軽い試合をしていた。
「隼くん、右サイドから走れ」
「洋ちゃん指示多いっ」
「させないよ」
 ワイシャツの袖を巻くって汗だくで。
 美浦さんもよくやるよ。
 付き合う俺も同じか。
 隼がジャンプしながらシュートを試みる。
「あー!」
「……取っておいで」
 その隙に休憩とばかりに美浦がベンチにやってくる。
「はあー。暑い」
「スポドリ差し入れです」
「洋ちゃんナイス。てか聞いて。昨日調べたら肌年齢若返ってたんだけどコレのお陰かな」
「そうじゃないですか」
 何を気にして生きてるんだろう。
 この人は。
 汗が伝ううなじに目が惹かれる。
 元々筋肉があった方だが、更に引き締まった気がする。
 やだやだ。
 また差が開いていく。
「直彦ー。ボール……あっ、兄ちゃん」
「え?」
 隼の指先を追うと、黒い外車に三人の男がもたれて此方を見ていた。
 そのうち一人が手を振り降りてくる。
「隼がいつもお世話になってます」
「お、タヤだ。本物」
「初めまして」
 握手を交わし、飛び付いてきた隼を抱き止める。
 背後からからかう声が降る。
「なぁに~。そっくりじゃん。可愛い、可愛いすぎ~」
「えっ、帯乃?」
 声を上げた美浦に首を傾げる。
「知り合いですか」
「洋ちゃん知らないの? 今一番売れてるダンスユニットのリードボーカルだよ?」
 へぇ。
 派手な白髪をポニーテールにした帯乃がにやりと微笑む。
「おい、帯。勝手に降りてくなよ」
 その後ろからマネージャーらしい男が続く。
「だってタヤちゃんの弟っていうから気になるじゃん、桃ちゃん」
「その呼び方やめろ」
「桃ちゃん?」
「……ほら。もう弟が覚えた」
 そう毒づいた桃木にタヤが苦々しく笑う。
「すみません」
 なんだろ。
 親近感湧くな、このマネージャー。
 目が合い、会釈する。
「夕方がオフでね。邪魔して大丈夫か」
「大丈夫じゃないですか。美浦さん、隼くんを自慢するの好きですし」
「……兄弟揃って似たような彼氏作りやがって」
「マネージャーは大変ですね」
 煙草を取り出した桃木に火を差し出してやる。
 ふっと笑って火を貰った彼が、定めるように俺を見つめた。
「お前、名前は?」
「洋介です」
「だから洋ちゃんね……俺は桃木太一だ。名刺とか面倒だろ」
「ですね」
 同時に笑う。
 やっぱ合うな、この人。
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