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kiss
第12章 eye
生まれた時から、一緒だった顔が、見たことないほど愉悦に満ちていて、直視するのが怖かった。
でも、同時に彼女とヤった時とは比べ物にならない熱に浮かされていた。
これから、何をされるなんて、猿でもわかる。
「ほら、音聞こえるだろ」
静かな部屋に吐息と下品な水音だけが響く。
何度も二人で漫画を読んだ部屋で。
ボドゲして笑い転げたベッドの上で。
いつからか乗ることのなくなったマットは、拷問台のように道具に囲まれていて。
「うっあ」
ガチャンガチャンと鳴る手錠がうるさくて、なんとか手首の震えを止めようとしても、刺激が強すぎて腕ごとびくりと動いてしまう。
「声出すなって」
ググッと下唇を噛んでも、歯の隙間から息とともに苦しい声が漏れる。自分でいじったことなんて数えるほどしかない穴に、加減なく増えた指が突き刺さる。
きつい、苦しい、でも、好い。
頭が焼けそうなくらい気持ちいい。
フェラよりもずっといい。
「ここいじんなくても出そうだな」
笑って手を離されたそれの先端は、はしたなく自分の顔を向いている。
触らなくても硬さがわかる。
根元が攣りそうなくらいに痛い。
「意地、わっるい」
「あー、可愛い顔すんじゃん」
かあっと頬に血が上る。
でも、でもどうでもいい。
早く。
見下ろされて距離のある今が物足りない。
早く。
ベッドに置いたその手を、細くて綺麗な指をこちらに伸ばして欲しい。
抱きしめて欲しい。
同じぐちゃぐちゃに塗れて欲しい。
「すっげえ、煽る顔」
涙が伝ってきた頬に待ち望んだ手のひらが添えられる。
もう腋まで痛いくらいに腕の制限がきつい。
弾んだ腰も汗ばんだ背中も解放して欲しい。
でも、でも、どうでもいい。
眼鏡にかかったブラウンの髪の隙間から、見下ろすその目が、何もかもどうでもよくしてくれる。視線が絡んだまま、指が止まって、呼吸だけが鼓膜を震わせる。
早く早くと急かすようにキュウっと力がこもるのが恥ずかしいくらいわかる。
「お前本当素直だな」
ベッドが軋んだかと思うと、顔の右脇に肘をついた兄ちゃんの唇が俺の唇に重なっていた。
「んっ、んん」
柔らかい感触に一瞬で溺れるように顎を突き出して求める。
ふふ、と笑い声が聞こえて舌が出迎えた。
チャプ、と互いの舌を舐める。
ああ、もう早く。
もどかしい。